2011年12月5日月曜日

ボストンの学会を終えて

先週は、 MRS という材料系の学会に出席するため初めてボストンに行きました。
僕の研究分野は、非常に狭く、1997年を最後に MRSではこの研究のセクションがなくなりました。
しかし、今回の学会ではそのセクションが14年ぶりに復活して大きな期待を寄せていました。
今日は、そのことについて書こうと思います。

1)研究分野
以前に書きましたが、(http://sixpackdreamer.blogspot.com/2010/08/2-2.html
僕の研究は金属の燃焼、そして爆発です。

はじめは燃焼を研究していたが、
より早く燃やせるように改良を加えたら爆発するぐらいの威力になりました。
燃焼する金属はアルミニウムで、酸化剤は酸化銅を使用します。
中学や高校で行ったテルミット反応をどれだけ早く行えるか、どうやったら低温でも反応を開始できるかを研究しています。
応用分野は、ロケットやミサイルの推進剤、爆薬、金属の溶接、そして熱電池です。
材料分野がとても強い日本でも、現在ではあまり研究が行われていない分野です。
過去にJAXAの発表を聞いたぐらいですが、アメリカの研究施設では日本よりは多くの人が研究を行っています。

2)発表の様子
僕のセクションの発表では、学生は1-2割程しかいませんでした。
残りは、政府や軍関連の研究者の発表でした。スライドには、小さく Unclassified(非機密)と書かれているものが多く、許可がなければ公表できないものが、8-9割程でした。
実際、一つの発表は許可が降りないために中止になりました。
発表を行う際も、コンピューターにカードキーを差しこみ、パスワードを入力しないと起動できないものが多かったです。
MRS では発表者のスライドの撮影を禁止していますが、それでもなぜか撮影しようとしている人がいたので、撮影者は厳重に注意される場面がありました。

実際の発表は、少しがっかりしました。
MRSでの研究や発表の質があまり高くないように感じられました。
燃焼学会の方が、質が高いように感じました。
特に、期待をしていた政府や軍関連の研究者の発表は、予想していたものとは違っていました。
公表に許可が必要とされるので、公表できる範囲が制限されていたためかもしれません。

3)今後の方向性
今回の発表を終えて、自分の研究分野の位置づけがよく分りました。
特殊な分野だけに、ふさわしい場所を見つけられれば重宝されるが、
その一方でふさわしい場所がとても限られているということを実感しました。

今回の学会は、僕の将来を考えさせてくれるよい機会でした。